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2018年度 課題研究発表会
ポスター演題

誤嚥性肺炎を繰り返す患者の看護 ~食べることが好きな患者に対する関わり~

キーワード:QOL誤嚥性肺炎食事
看護学科
竹中 綾香

はじめに

肺炎は日本人の死亡原因第三位で、特に高齢者の死亡率が高い疾患である。中でも誤嚥性肺炎は多くを占め、治療してもその後のQOLに大きな影響を及ぼすことが多い。また、高齢者にとって食事は生きるためのエネルギーになることはもちろん、日常生活において楽しみの一つである。しかし、加齢により嚥下機能が低下することで、これまで食べていた食事内容が摂取できない状態となり、身体及び精神的に様々な障害が生じる。咀嚼嚥下障害をもち、経口摂取困難であるが、食べることが大好きだという本人や家族の想いを尊重し、望むことを可能な限り実現させるための関わりについて振り返る。

事例紹介

Aさん、70代、男性。食べることが大好きで、短時間でかきこんで食べる癖があり、誤嚥性肺炎で入院。誤嚥のリスクが高い状態であり、一日に100mlのとろみつきジュースのみ。

家族は口から食べてほしいという想いがあり、胃ろうの造設は行っておらず、本人も食べることが楽しみであり、家族が食事介助を行っている。たまに「食べたい」表現あり。呼吸苦や、排痰時の苦痛強く、食事時にも苦痛表情を浮かべることが多かった。

看護の実際

大好きである食事を少しでも楽しく、苦痛なく行えるように、痰貯留部位の聴取を行い、それに合わせた体位ドレナージ、必要時には喀痰吸引の依頼を行った。また、自力での喀痰排出を促すために、ベッドサイドで共にシルベスター法を実施した。援助実施後は、呼吸時の苦痛表情も和らぎ、穏やかな表情で食事をされ、ムセなく摂取する様子が見られた。その様子を見た家族からも、「美味しそうに食べてくれてうれしい。おじいやん、良かったねえ。」と、安心した表情を浮かべている様子が見られた。

考察

口腔摂取を促すためにその人の状態をアセスメントしたうえで体位ドレナージやシルベスター法を取り入れムセなく摂取することができた。「口から食べるということは、生命活動に必要な栄養補給だけでなく、食べる楽しみから得られる満足感により、実質的なQOLの向上をもたらすのです。欠くことのできない生活の一部であり、人間としての基本的欲求の一つである。と小山らは言っている。1)結果として、口から食べる際には穏やかな表情で食事ができ、家族共に安心し穏やかな時間を過ごす事ができており、患者・家族ともにQOLの維持・向上に繋がったといえる。

まとめ

食べることが好きであり、少しでも食べたいという患者の想い、少しでもいいので、口から食べることの喜びを最後まで感じてほしい、という家族の想いに寄り添い、本人・家族のQOLの維持・向上を考えた援助を行えた実習となった。

参考文献・引用

  1. 1)小山珠美編口から食べる幸せをサポートする包括的スキル第二版東京医学書院 20172-3

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