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2018年度 課題研究発表会
ポスター演題

地域における言語聴覚士の役割の考察 ~学内施設「ことばの相談室」利用者アンケートより~

キーワード:アンケートことばの相談室地域
言語聴覚士学科
太田 祥子/木下 勇太/畑 孝門

はじめに

学内施設「ことばの相談室」(以下,相談室)では,言語聴覚士学科の教員が地域の小児や高齢者のコミュニケーションに関する相談・訓練を行っている.学生として相談室の見学や演習に参加し,利用児の保護者に話を聞く中で,相談室を利用する前のことばの発達や発音についての不安な気持ちを聞く機会があった.

今中ら1)によると,相談室の役割として,子どもに対する直接的な支援とともに保護者に対する支援があると述べている.しかし,全国的に小児領域に関わる言語聴覚士は少ない状況がある.そこで本研究において相談室の利用状況の分析と保護者へのアンケートを実施,地域における言語聴覚士の果たす役割について考察した.

対象と方法

平成29年度の相談室利用状況の分析および,利用している児の保護者へのアンケート調査を実施した.内容は1利用前のことばの発達や発音について知る機会の有無,2利用のきっかけ,3利用前後の保護者の気持ちの変化,4ことばの相談室に対する保護者の要望についてである.回答は任意,書面および口頭にて研究に対する依頼,承諾を得た.回答期間は平成30年5月24日~6月18日,回収率は100%であった.

結果

1) 相談室利用状況の分析
平成29年6月より平成30年3月までの10カ月間に,47件(月平均4.7件)の相談があった.うち成人に関する相談が16件,小児に関する相談が31件であった.成人では20~30代の若年群からの相談もあった.また小児では0歳~6歳の未就学児の利用が81%であった.

2)アンケート調査結果
1相談室利用前の,ことばの発達や発音について知る機会の有無では,64%の保護者が知る機会はなかったと答えた.2利用したきっかけとしては「紹介」が最も多く,紹介先は知人,公的機関(保健センター等)などであった.3利用前後の保護者の気持ちを「かなり不安」~「全く不安ではない」の4段階で問うと,利用前は「かなり不安」~「やや不安」が全体の86%を占めていたが,利用後は57%に減少した.

考察

平成29年度の利用件数では,小児領域の言語聴覚士のニーズの高さが推測された.またことばの発達や発音について,保護者は不安を抱えており,言語聴覚士にとって家族支援の役割も重要であることがわかった.そして今後地域連携がより必要であると考えた.

まとめ

学内施設「ことばの相談室」の利用状況分析,利用児の保護者へのアンケートを実施した.地域における言語聴覚士の役割として,直接的支援,家族支援,社会的支援があると考えられた.

参考文献・引用

  1. 1)今中博章ら:幼稚園及び保育園における発達障害児に対する支援教室に関する研究.福山市立大学教育学部研究紀要Vol.3,P1-9,2015他

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