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2018年度 課題研究発表会
ポスター演題

保育現場における構音不明瞭な幼児の対応について 現状と課題~保育士への調査から~

キーワード:アンケート構音障害発音の不明瞭さ
言語聴覚士学科
髙畑 直紀/坂本 結希

はじめに

本校の言語聴覚士学科では平成29年6月に「ことばの相談室」を開設し,子どもの発達や発音についての相談を受けている.平成29年6月から平成30年3月までの相談内容の内訳は,成人が34%,小児が66%であった.小児の相談のうち発音の不明瞭さに関する相談は32%であった.他施設からの紹介や,保護者・保育士の気づきから相談に訪れた人が多かった.

発音の不明瞭な幼児について調べてみると,保育現場での関心や気づきに関する文献は少なく,発音の不明瞭さについて,あまり知られていない現状があると考えた.
そこで,保育現場における発音の不明瞭な幼児に 対する関心や気づきについて調査した.

対象と方法

保育施設へのアンケート調査を実施した.対象は鳥取市内の保育施設に勤務している保育士61名.アンケート用紙は保育施設へ持参し,回答期間終了後に直接回収した.回答期間は平成30年5月28日~6月15日までとした.

結果

発達障害について質問したところ,96%人が自閉症スペクトラム障害や注意欠如・多動性障害について知っていたが,構音障害について知っていると答えた人は約15%と少なかった.また,発音の不明瞭さに気づいても,その場で保育士が対応することが多く,保護者へ相談したり,相談先を紹介することも少ないことがわかった.

発音の不明瞭さに対する相談先を紹介する場合,小児科医や保健師が多く,言語聴覚士へ紹介されることは少なかった.

言語聴覚士という職種について,知っている人と知らない人がほぼ半数であった.

考察

「構音障害」という症状の認知度が低く,発音の不明瞭さに気づいても,相談までに至らないことが多いと考えられた.

また,発音の誤りに気づいても,年齢が上がるとともに改善していくことも多く,年齢相応の発音の誤りなのか,相談や訓練が必要な状況なのかの判断が難しいと考えられた.そして,言語聴覚士についての認知度も低いため,言語聴覚士が発達や発音についての相談を受けていることが知られていない可能性が考えられた.

まとめ

構音障害について知ってもらうことで,発音の不明瞭な子どもへの対応を充実させることができると考える.そして,言語聴覚士の存在や仕事に対する認知度を高めるため,地域での活動に参加したり,啓蒙活動をするなどして,言語聴覚士に相談しやすい環境をつくっていくことも重要であると考える.

 

参考文献・引用

  1. 高見観他:小児の構音発達について.愛知学院大学心身科学部紀要5号p.59-65,2009他

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