学校生活におけるストレスと性格との相関について
はじめに
実習に対する学生の不安に関する研究で,杉戸他1)は,実習中では明朗快活な学生は睡眠時間が長く,ストレスが低いと述べている.しかし,学校生活やそこでの人間関係を含めたものの報告は極めて少ない.本研究では,学校内での様々な場面で生じるストレスと内向性・外向性といった性格にはどのような関係があるかを検討した.調査にあたり,ストレスと性格は強い結びつきがあり,内向的な性格の人はストレスを感じやすい,という仮説を立てた.
対象と方法
(対象)
本校作業療法士学科2年生26名,3年生24名
(道具)
淡路・岡部式向性検査(50項目)
独自に作成したストレスチェック用紙(19項目)
(手順)
①グループ内で予備調査を実施.②ストレス
チェック用紙を淡路・岡路式向性検査と共に対象
となるクラスに配布・実施.
(分析方法)
淡路・岡部式向性検査によって出された点数と,
ストレスチェック用紙での結果をピアソンの積率
相関係数を使用し求めた.
結果
独自に作成したストレスチェックを実施した結果,外向性と関係のあった質問は,質問10「学校内に関わりにくい人がいるとき」(r=0.421),質問1「1クラスメイトや先生との距離感がつかめず,困惑することがあるとき」(r=0.407),質問16「学習面で人と自分を比較して,敗北感や嫉妬,焦りを感じることがあるとき」(r=0.522),質問19「何気ない人の言葉を悪い方に解釈し,落ち込むことがあるとき」(r=0.431)であった.なお,内向性と関係があった質問は,質問7の「クラスメイトや先生に気軽に質問できないとき」(r=-0.244)であったが,相関は弱かった.
考察
質問10,11でのストレスの感じやすさについては,ユングが外向的な性格の人は,社会性があり広い範囲の人と交際する傾向があると述べた点から,広い範囲の人と関わりたいという気持ちがある一方,関わりにくい人がいるというギャップもストレスの原因になっていると推測できる.質問16,19については,ユングが外向的な性格の人は,周りを基準に物事を判断する傾向があると述べた点から,自分と他人を比較しがちになり,一つでも劣っている点があると敗北感を感じてしまうと推測できる.また,周りの言動に敏感になりストレスを感じてしまうとも考えられる.
まとめ
今回は対象人数が少なく仮説どおりの結果が得られなかったため,対象者をさらに増やすことでより新たな結果を得ることができると考えられる.また,結果を各学年に分けることで,各学年によるストレスを深く追求することができると考えられる.
参考文献・引用
- 1)杉戸真他:臨床実習における学生の主観的睡眠時間とストレス度,性格特性との関係.第46回日本理学療法学術大会抄録集,2011