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2018年度 課題研究発表会
口述演題

色の変化が作業能率に与える影響

キーワード:作業能率内田クレペリン検査色彩環境
作業療法士学科
勝井 はるか/髙濵 萌/藤井 彩季/藤井 亮介/森 我郎/若松 由香里

はじめに

現在,日常には非常に多くの色が存在しており,色にはイメージや,様々な効果があるといわれている.野村1)の体感温度の違いを調べた実験で,寒色より暖色で体感温度が三度低く感じられたとある.季節ごとに部屋の模様替えをするなど私達は日常の中で自然と色を取り入れている.

その色についての効果を治療に役立てられるのではないかと考え,作業療法を学ぶ学生として色が作業能率にもたらす影響について調べることとした.そこで,単純作業を実施し作業成績の比較検討を行った.

対象

本校作業療法士学科学生(20代女性3名)※対象者に対して,紙面及び口頭にて十分な説明を行い,書面にて同意を得た.

方法

2月下旬から3月下旬にかけてADL室にてRGBカラーチャートに基づく6色のフィルターを使用し内田クレペリン検査を実施する.

結果

作業を実施し,フィルター無し(無色)の状態に対するフィルター有り(有色)の作業量についてt検定を用いて検証し図1の結果を得た。検定の結果,全ての色において無色に対し有意差が認められた.

考察

RGBカラーチャートの6色ではフィルター無しの場合と比較して,作業能率が上がることがわかった.この結果より,単純作業をするには作業環境に色を差し込むことが効果的だと示唆された.

これにより,箱の組み立てや袋詰めなど簡易的作業で,ある程度の集中力が必要な作業をする事業所での作業能率の向上が考えられる.つまり,就労継続支援B型事業所などの,最低賃金が保障されていない労働環境の賃上げにつながり,障がい者をとりまく労働環境も改善されると予測される.

しかし,今回は限定的な小集団での施行だったので,汎用性が得られるよう継続的な研究が必要である.

参考文献・引用

  1. 1)野村順一:増補色の秘密.文藝春秋;1994

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