menu

2017年度 課題研究発表会
口述演題

滋慶教育科学研究所 奨励賞

視聴覚教材の開発における作業療法評価の学習効果の検証

キーワード:作業療法評価客観的臨床能力試験視聴覚教材
作業療法士学科
鈴木眞紀/津澤智弥/本多政志/山根千沙

はじめに

作業療法評価(以下,OT評価)において視聴覚教材は複数存在する.しかし,学生にはイメージ化や理解が難しいものが多い.また,OT評価の流れに直結できるものは少ない.本研究では,学生視点から視聴覚教材を作製し,視聴覚教材利用によりOT評価技術が向上するのか検証した.

対象

本学科学生13名(男性6名,女性7名)

方法

(材料)
独自に作成した,コミュニケーション,血圧と脈拍測定に関する視聴覚教材を使用した.

(評価方法)
コミュニケーション能力,血圧・脈拍測定の技能に関して,客観的臨床能力試験(以下,OSCE)を用いて評価技術を点数化した.評価項目はコミュニケーション技法の態度に関する評価項目(3項目)と技能に関する項目(10項目),血圧と脈拍の測定の態度に関する評価項目(3項目)と技能に関する項目(15項目)を3段階(good,fair,poor)で評定を実施した.OSCEの採点は本校教員2名が行い,各項目の平均点を採用した.評価対象は教材視聴前,視聴後におけるコミュニケーションと血圧・脈拍測定技能に対して評価した.

(手続き)
①対象者は患者役に対してコミュニケーションをとりながら血圧と脈拍を測定した.その際OSCEによる評価を行った.
②対象者は個別に視聴覚教材を視聴した.
③①同様に,血圧と脈拍を測定した(OSCEも同様に実施した).

結果

コミュニケーション技術と血圧・脈拍測定についてOSCE による評価を,教材の視聴前後に分けて行ったところ,図1のような結果になった.

視聴覚教材の視聴前後のコミュニケーション,血圧と脈拍測定の評価技能をt検定を用いて検証したところ,1%危険率においても有意差があり効果が認められた.

考察

作製した視聴覚教材は,視覚的に測定の一連の流れを示し,聴覚的に測定の説明・声かけを示した.文字や写真だけでなく,一連の流れを視覚的情報と聴覚的情報を同時に与えることで,イメージが容易になり,効果が得られたと考える.

本研究では,視聴覚教材の視聴前後のみ比較し検証した.しかし,OT 評価前に何らかの教示を実施することで,効果が得られることは容易に想像できることである.そこで,作製した視聴覚教材が本当に有用なのかを実証する必要があると考
える.

学生視点からの視聴覚教材の作製が有用性と実証できれば,様々なOT評価法においても視聴覚教材の作製が学習効果の向上につながると考える
ので,研究を進める必要性がある.

 

参考文献・引用

ページトップへ戻る

close