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2019年度 課題研究発表会
ポスター演題

高齢者が理想とするスーパーマーケットとは ~高齢者の思いに寄り添った買い物環境を目指して~

キーワード:アンケートスーパーマーケット手段的日常生活動作
作業療法士学科
前田 千春/景井 七星/菅澤 彩/長谷川 美千子

はじめに

作業療法に携わる者として高齢者の在宅生活の維持は重要な役割である.在宅で生活する高齢者にとって買い物環境を整えることで自分らしく生活を送れる環境へと繋がっていくことが期待できる.

鳥取県元気づくり総本部元気づくり推進局とっとり暮らし支援課の平成29年度「まちなか生活実態調査」によると,高齢者の多くは地域近隣のスーパーマーケット(以下,SM,)を主に利用して買い物をしていたと調査結果に挙げられていた.そこで鳥取駅周辺で65歳以上の高齢者にSM,のイメージ調査を実施し,協力を得られたB店とC店の現状を把握することにした.その調査の結果をもとに高齢者の理想とするSM,について検討を行った.

対象

高齢者50名
B店25名
(70歳代:8人,80歳代:15人,90歳代:2人)C店25名
(65~69歳:4人,70歳代:12人,80歳代:8人,90歳代:1人)
SM,2店舗の責任者各1名

方法

鳥取駅周辺のSM,2店舗で65歳以上の高齢者を対象に各25名にアンケートを実施.

その結果を基にSM,側にアンケートを実施.B店とC店のアンケート結果を集計とKJ法でまとめた.

結果

高齢者のアンケート結果では良い点として“家から近かった”“慣れているので物の配置が分かった”“交流の場になった”という意見が挙げられた.問題点として“レジの対応が遅かった・急かされた”“商品の値札や案内板が見にくかった”という意見が挙げられた.

SM,へのアンケート結果ではメインターゲットとして高齢者が含まれており高齢者へのサービスを充実させていることがわかった.また,スペースの狭い店舗では休憩所やバリアフリー環境を整えることが難しいため接客方法を工夫しているという回答があった.

考察

調査前は現在のSM,の現状は,通路が通りにくかったり商品を取りにくかったりと高齢者が買い物しにくい環境であると予測していた.しかし,特に困った経験はないと回答した高齢者が多かった.その理由として,今回調査を行った2店舗のSM,は高齢者や地域に根差した細やかなサービスを展開していることが挙げられる.これらのことから買い物は外出するきっかけとして重要な役割を果たしているといえる.しかし,買い物状況を聴取しただけではニーズを引き出すことができなかったため,高齢者が現在の買い物環境に満足しているかまではわからなかった.そのためアンケート項目に買い物に対する満足度の項目を作るべきであったのではないかと考えられる.

まとめ

理想の買い物環境を整えるには,福祉用具やバリアフリー設備の導入だけでなく,高齢者の特性を十分に理解し,買い物をサポートしていくことが必要な条件であると考えられる.

作業療法士を目指す学生として,今後も高齢者の思いに寄り添ったSM,の環境を検討し,在宅生活の維持を目指していきたい.

参考文献・引用

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