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2019年度 課題研究発表会
ポスター演題

環境音楽による作業効率の変化

キーワード:テンポ作業効率環境音楽
作業療法士学科
朝倉 祥希/市場 慶斗/大越 世莉奈/髙下 祐哉/段田 夏輝/西垣 美紅

はじめに

聴覚刺激の変化によって作業効率がどのように変化するのか,阿部ら(2010)のパソコン入力課題において,テンポ140,180(1分間に打つ拍の数)で行われ,テンポ180の時に誤打数が上昇するという結果であった1).また後藤(2014)はテンポ60~90がリラックスできるテンポであると提唱している2).本研究では80,140のテンポで,作業効率にどのような影響をするか実証をした.仮説として,音楽のテンポが遅い方がより作業効率をよくするのではないかと考える.

対象と方法

対象:作業療法士学科1年生12人(男:6人,女6人)平均年齢20.2歳
方法:パソコンにおけるタイピング作業
曲名:夜のガスパール/絞首台(ラヴェル作曲)条件:無音,速い(140),遅い(80)テンポの音楽手続き:1防音室に入る.2被験者に本実験についての説明を行う.3練習課題としてWordでひらがなランダム入力課題を行う(1分間).4本実験としてひらがなランダム入力課題を行う
(遅い,速い,無音条件を各5分間).5実験終了.統計手法:総打数,誤打率(誤打数÷総打数)それぞれの分散分析を行った.

結果

各音楽条件別にパソコン入力課題における総打数と誤打率を分散分析した結果,図1より,無音条件と速い条件において有意差が見られた.

考察

本研究では各音楽条件別での総打数,誤打率に有意な差がみられ,特に無音条件が他の条件
と比較し総打数,誤打率ともに最も多い結果となり,速い,遅い条件を比較した際には,著明な差は見られなかった.この結果から,作業中に環境音楽がある場合と比較し,無音条件はタイピングの際に,被験者本人のテンポで打っていたため,無音の場合音による刺激がない分集中して打つことができるが,長時間の作業により集中力が持続しなかったため誤打率が増加した.一方,音楽がある場合では総打数の著名な増加は見られず誤打率にも著名な増加は見られなかったことから,環境音が集中力の持続に影響したのではないかと考える.今後の課題として,各学生が普段、音楽を聴きながら作業を行っているかどうか,その条件別に実験する必要があると考える.

参考文献・引用

  1. 1)阿部麻美ら:BGMのテンポの違いが作業効率に与える影響.日本認知科学会大会発表論文集,27;330-3362010.
  2. 2)後藤康利:楽曲のテンポの違いによる聴取者のリラックス効果の検討.大学院研究年報理工学研究科篇,44;2014

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