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2020年度 課題研究発表会
ポスター演題

誰にでも楽しめるバックオンを目指して

キーワード:ニュースポーツバックオン集団レクリエーション
作業療法士学科
坂口 さくら/福本 凜乃/松浦 佑斗/鷲田 詩音/山本 隆広

はじめに

ニュースポーツという言葉は1980年代頃から使用され始め,現在はグラウンドゴルフやフライングディスク等,一般的に普及しているものも数多く存在している.ニュースポーツとして必要な条件は,1楽しさを感じる2いつでも季節関係なく行うことができる3どこでも気軽にプレーすることができる4誰にでも行え,運動強度や運動量を加減することができる等が挙げられる.1)本校の作業療法士学科2期生の作成したニュースポーツの「バックオン」は,3期生が追加研究として細かなルール設定を行った.我々4期生は,追加研究として,ニュースポーツの条件の一つにもある,
「誰にでも楽しむことができる」という部分に着目し検証を行った.

対象

本校の作業療法学科学生36名(男性19名,女性17名),平均年齢20.5±2.5歳

方法

「誰にでも楽しめるバックオン」を実現するにあたり,身体障害がある状態でも楽しめることを検証する為,左片麻痺を想定し,A:重りなし,B:重りありという条件で行った.重りは,右手関節に0.5kgの重り,左手関節に1kgの重りを付け,左臀部にタオルを敷き,体幹を右側屈させ,椅子座位で行った.また,実施後にアンケート記載を行った.その他観察点として,座位姿勢,点数,箱に乗った玉の数,ゲームに要した時間を計測した.

結果

実施中の姿勢はBで軽度体幹右側屈による立ち直り反応は見られたが,大きく変化することはなく,点数と玉の数,ゲーム使用時間はBで増加傾向を示した.アンケート結果では,回数を重ねるごとに楽しさや上達を感じ,集中することができたとの回答が多かった.また,ルールの理解度も回数を重ねるごとに高くなる傾向を示した.

考察

姿勢が大きく変化しなかった理由として,疾患を有していない健常者であるため立ち直り反応や年齢による筋力が関係していると考える.点数,玉数がBで増加傾向になった理由として,アンケート結果から回数を重ねるごとに手の動かし方などの運動方向を学習できたことや他者がバックオンを行っている様子を観察する中で,加点などの細かなルールを理解したことが関係していると考える.左片麻痺の状態での実施結果やアンケート結果から,身体機能に障害を有していても楽しめるという事が証明されたと考える.また,認知機能低下のみられる高齢者や高次脳機能障害,精神疾患を有している方,小児等はその都度状況や環境に合わせた新たな加点ルールなどが必要だと考える.今回は新型コロナウイルスの影響で本校での実施であったが,今後は老人施設や病院,保育園等での検証を目指したい.

 

 

参考文献・引用

  1. 1)ニュースポーツの普及戦略~フライングディスクからの考察:師岡文男第44回(1993)

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