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2021年度 課題研究発表会
ポスター演題

フレスコボールの運動強度について

キーワード:カルボーネン法率フレスコボール (FB)運動強度
理学療法士学科
河﨑 諒平/塩見 海智/川上 凜

はじめに

現代の日本は要支援・要介護となる高齢者が増加しており,介護予防,状態の悪化を防ぐ事が注目されている.そのため本研究では,発病そのものの予防を行う1次予防に注目した.1次予防では精神・身体・社会の各相の活動性を維持・向上させることが重要とされており,その中の身体面に注目することで要支援・要介護認定の原因の中で全体の25%を占める高齢による衰弱,骨折・転倒を予防でき,介護予防に繋がると考える.先行研究1)では,転倒予防などの効果が期待できるとしてフレスコボール(以下:FB)をリハビリに導入している施設があるが,FBに関する詳細な研究,報告はされていない.そのためFBが高齢者に適当な運動となっているかを厚生労働省2)の定める高齢者を対象にした運動強度50~60%に対し,どの程度の運動強度となるかを解明する.

対象と方法

本校学生18~21歳(平均年齢20.8±0.4)の健常者で,先行研究より運動習慣のない者(週2回(1回30分)以上の運動の有無に対し,無いと答えた者)3)20人を対象に無作為化比較試験にて2群に分けた.FBの実施方法は,ペアで間隔は5mとしてボールを打ち合う.立位では横幅は3mに設定,座位では座面から離殿しない範囲とした.測定は安静時と運動直後の脈拍を計測し,カルボーネン法にて運動強度を算出.統計処理は,正規分布を使用した.対象者への研究の参加について,口頭と書面にて説明を行い書面にて同意を得た.

結果

測定結果は座位では心拍数82.7±2.9bpm,運動強度12.6±0.95%で立位では心拍数110.9±1.89bpmで運動強度32.3±0.71%となった.正規分布は,座位・立位時の運動直後心拍数と立位時の運動強度で分散は小さいが,座位時の運動強度は分散が大きい結果となった.

考察

FBによる運動が,介護予防として有効な効果を発揮するかを解明することを目的に,運動強度についての研究を行なった.測定の結果,座位では心拍数の変化は少なく,運動強度も約13%であった.立位では心拍数の変化は見られたが,運動強度約33%で介護予防としての目標運動強度である50%に到達しなかった.しかし,西田ら4)によると,平均年齢70.2±5.8歳の高齢者を対象にカルボーネン法で求めた目標心拍数が30%負荷強度で心拍数96±5.7bpm,50%負荷強度で111±5.2bpmであったとしている.高齢者と若年者の心拍数は安静時ではわずかに低い事を除くと心機能は若年者とほとんど変わらない5)との報告があることから,本研究結果の立位時の心拍数110.3±1.98bpmは高齢者に対しての50%負荷強度と同程度の強度であると予測される結果となった.また,厚生労働省2)によると高齢者で運動強度50~60%の有酸素運動を推奨しており,本研究結果の立位でのFBの運動強度は介護予防に適当であると考える.

参考文献・引用

  1. 1)一般社団法人日本フレスコボール協会:リハビリデイサービスかみふうせん.https://prtimes.jp/main/html/rd/amp/p/000000020.000039815.html〔引用2021-11-25〕
  2. 2)厚生労働省:標準的な運動プログラム:高齢者を対象とした運動プログラム.https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/undou/index_00003.html〔引用2021-11-25〕
  3. 3)大下和茂ら:大学生の運動習慣とスクワットに関する認識について.日本生理人類学会誌,19(4)239-245,2014
  4. 4)西田雄介ら:施設入所高齢者における低運動負荷時の心拍変動:周波数解析を用いた自律神経活動の評価.理学療法学,33(1)1-6,2006
  5. 5)MSDマニュアル:心臓と血管への加齢の影響.https://www.msdmanuals.com/ja-jp/ホーム/24-高齢者の健康上の問題/高齢者の体/加齢に伴う体の変化〔引用2021-11-25〕

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