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2021年度 課題研究発表会
ポスター演題

気管支喘息の患児の看護 ~効果的なプレパレーションについての一考察~

キーワード:RTXプレパレーション吸入気管支喘息
看護学科
山田 さくら

はじめに

プレパレーションとは,「病気,入院,検査,処置などによる子どもの不安や恐怖を最小限にし,子どもが自分の力を最大限に発揮できるように,その子どもに適した方法で心の準備やケアを行い,環境を整えること」1)と定義されている.小児看護では患児が安心して治療・処置に臨めるよう、採血や検査などいろいろな場面で用いられている.今回,気管支喘息で吸入と陽・陰圧体外式人工呼吸器(以後RTX)が必要であるが,毎回「イヤイヤ」と啼泣している患児を受け持った.プレパレーションを行ない良い結果が得られたので考察する.

事例紹介

対象:Aちゃん3歳3カ月女児
特徴:イヤイヤ期
診断名:気管支喘息
経過:入院時,喘鳴,肩呼吸,陥没呼吸,鼻翼呼吸,湿性咳嗽があり吸入療法を実施するが,吸入の霧が出てくると「モクモクが嫌」と泣き叫ぶ.
RTXを実施する前も大きな音に泣き叫び,処置前は必ず「全部やらない,やだ,お家にかえるの」と泣き叫んでいた.

看護の実際

吸入やRTX実施前に紙芝居を用いてプレパレーションを毎日実施した.最初は紙芝居を見せても啼泣していたが.Aちゃんの分かりやすい言葉を使い声のトーンに気をつけて治療の必要性・効果を説明した.また,治療中はAちゃんのイヤという思いを肯定的に受け止め,治療が終わった後は出来たことや頑張りを称賛する声かけを行った.3日目になると紙芝居を嫌がらず聞いていた.途中で興味が無くなる時もあり,その場合は無理強いせず関わった.逆に紙芝居をじっと見ている時は吸入やRTXを受ける紙芝居の主人公とAちゃんの今の状態を重ね合わせて説明した.また,治療に対する思いを質問しながら行った.実施4日目には,Aちゃんは「モクモクとブルブルができるよ」と言い,自ら吸入とRTXを行った.

考察

3歳前後から6・7歳ごろまでの前操作期にある子どもは,遊びを通して物事を理解すると言われている.また,全ての物に心や命があると信じる時期でもある.理解できる言語数の少ないAちゃんに分かる言葉を用い,集中力・ペースに合わせ繰り返し説明したことで,Aちゃんなりに自分の状況を受け止め治療を受け入れられたと考える.そして、紙芝居を用いたことで,Aちゃんは紙芝居の主人公の行動を通して,「自分にもできる」という自信を引き出すことができたと考える.更に,Aちゃんの思いに共感し頑張りを認めることは,ストレスを緩和し安心して治療に臨める環境づくりに繋がったと考える.

結論

年齢・発達段階に合わせた説明や配慮をすることで,患児なりに理解し治療に臨む力を引き出すことができた.

参考文献・引用

  1. 1)及川郁子:チームで支える!子供のプレパレーション:子どもが「嫌」「怖い」を乗り越え,達成感を得るために.中山書店,東京,20,2012.
  2. 2)藤田優一ら:総合病院の小児外来の看護師が処置・検査中に実施している診療や看護をスムーズにさせるための技術・工夫.日本看護学会論文集,ヘルスプロモーション,107-110,2017.
  3. 3)山田咲樹子:外来での検査における看護師の役割.小児看護,44(3):350-356,2021.

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