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2022年度 課題研究発表会
ポスター演題

中学生の作業機能障害と抑うつ症状の関係性と要因分析~鳥取市の中学生を対象として~

キーワード:CAODQIDS-J作業機能障害抑うつ
作業療法士学科
藤田 颯司/浜本 晃太郎/金本 侑里香/山根 里桜

はじめに

作業機能障害とは,生活行為を適切にやり遂げられない状態を指す.生活行為は作業療法での作業(occupation)に該当し,日常生活活動,仕事・生産的活動,遊び・余暇活動などの身の回りのすべての活動が含まれ,「その人にとって意味のある活動」や「その人がする必要のあること,したいこと,周りからするように期待されていること」などとも表現される.作業機能障害の分類として作業不均衡(日々の作業のバランスが崩れている状態),作業剥奪(外的要因によって作業が行われていない状態),作業疎外(作業に対して意味を見出していない状態),作業周縁化(意味のある作業を周りから認められていない状態)の4つに分類され,作業機能障害に陥るとストレス反応・バーンアウト症候群・抑うつ状態が高まるという報告がある1).また,小学4~6年生10%,中学生22%,高校生23%に中等度以上の抑うつ症状があるとの報告がある2).

寺岡らは一般労働者より作業機能障害に陥る割合が多いと推測されている医療従事者を対象として作業機能障害の調査を行っている1)が,これまで子どもを対象とした作業機能障害の調査や報告がなされていない.そこで,中学生を対象に作業機能障害と抑うつ症状を調査し,その関係性の確認や要因分析を行うことにした.

対象

鳥取市立中学校の生徒(1~3年生)

方法

QIDS-J(抑うつ症状の重症度尺度)とCAOD(作業機能障害の種類と評価)を用い,分析のために追加質問を付加したアンケート調査を実施する.作業機能障害の潜在ランクと抑うつ症状の重症度との関係性の確認,要因分析,および考察を行う.

1)CAOD7件法で16項目の質問に回答させ,化の4因子に分類し,潜在ランク理論を用いて,“ExametrikaVer.5.5”で5段階(健常群,日常生活に困難感が出現する予備群,軽度の作業機能障害群,中等度作業機能障害,重度作業機能障害)の潜在ランクにランク分けする.

2)QIDS-J4件法で16項目の質問に回答させ,合計点で抑うつ症状の度合いを5段階(正常0~5点・軽度6~10点・中等度11~15点・重度16~20点・きわめて重度21~27点)にランク分けする.

3)QIDS-Jで軽度抑うつ症状と判定された人には,要因として考えられるものを自由記載させる.自由記載で得られた結果はKJ法で要約する.

4)作業機能障害と抑うつ症状との関係性を要因分析するため,次の7項目について質問を追加する.1学校以外の活動時間,2気分転換の機会,3余暇の過ごし方,4学校の人間関係,5気軽に話ができる人,6困ったとき頼りになる人,7個人的な問題を相談できる人.

1)~4)の結果から,作業機能障害の潜在ランクと抑うつ症状の重症度との関係性の確認,作業機能障害の要因分析,および考察を行う.

参考文献・引用

  1. 1)寺岡睦ら:作業機能障害の潜在ランク数の推定—医療従事者を対象として.作業療法,36(3);309-319,2017.
  2. 2)国立成育医療研究センター:コロナ×こどもアンケート第7回調査報告書.https://www.ncchd.go.jp/center/activity/covid19_kodomo/report/CxC7_repo.pdf[参照2022-9-19]

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