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2022年度 課題研究発表会
ポスター演題

給食体制の変化に伴う精神面への影響

キーワード:会話量喫食量子ども新型コロナウイルス
作業療法士学科
木村 翔/坂手 虹太/東田 希彩/松本 つかさ/水本 篤志

はじめに

新型コロナウイルス感染対策により,現在の小学生の給食体制は一方向を向き,黙食しているのが現状である.そこで私たちは,給食時間の喫食量や会話等を含めた他者との関わりに着目し,こどもたちの精神面への影響を調査した.この調査から給食体制の変更に伴う小学生の精神面の現状を把握し,作業療法がどのような関わりを持てるか考察する事を目的とする.

既存研究

前年度の研究にて鳥取市の小学校における新型コロナウイルス感染対策としての簡易給食導入の実態調査を行い,全体として子どもの育成に支障がないことが分かった.

研究対象

対象:A 小学校6年生(77名).

研究方法

1 2011年厚生労働省が提示しているうつ傾向のサインを基にアンケート調査を行い,子どもたちへの精神面への影響を分析する.

2 A小学校でアンケート調査を実施.コロナが流行していた令和2年度もしくは,令和4年度に分類し実施.

3 A給食センターからコロナ前の平成30年度,コロナが流行していた令和2年度,令和4年度の喫食量のデータを収集し,コロナ前後の残食率の変化を分析し,精神面の影響を考察する.

4 アンケートを集計し分析する.

結果

小学生アンケート結果は,令和2年度で回答した人数が少数であったため,令和4年度の結果を採用することとした.

精神面への影響では,コロナ前後で気持ちの変化が「ある」と解答した人が14名だった.その内,『疲れやすい』が64%,『集中できない』が21%,『だるい』が14%であった.「ない」と解答した人が48名であった.

喫食量は,「変わらない」が46名と一番多く,「増えた」が8名「減った」が7名となり,コロナ前と現在で喫食量に対する有意な差はみられなかった.

理想の給食体制を聞いた所,『教室でグループや班になって話しながら食べたい』と回答した人が31名だった.

A給食センターによる残食率は,平成30年度は11%,令和2年度は10.5%,令和4年度は14.5%だった.コロナ前とコロナが流行している時期の平成30年度と令和2年度を比較すると,有意な差はみられなかった.しかし現在,コロナ前と比較すると,残食率が増加している.

考察

残食率は平成30年度と比べ令和4年度では増加している.一方,小学生の精神面は平成30年度と比べ令和4年度では「変わらない」が多かった.残食率は増加しているが気持ちの変化が「ない」と解答した人が多かったのは,小学生が今の給食体制に満足していないからではないかと考える.実際にアンケートで小学生は,教室でグループや班になって話しながら食べたいと思っている人が多かった.

今後,残食率を減らすには作業療法としてコロナ禍でも安心してクラスメイトと話しながら給食を食べられる環境を整えることが必要であると考える.具体案として,パーテーションの使用,対面にならないように座る,三角テーブルの使用などが考えられる.

展望

学生に実施して精神面・残食率に変化が起こるかを検証したい.

参考文献・引用

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