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2023年度 課題研究発表会
ポスター演題

片脚ホップ動作に伴うKnee in-toe outの関係性

キーワード:knee in-toe outスポーツ下肢の関節角度前十字靭帯損傷
理学療法士学科
田淵 亜弥/大下 龍希/大坪 昇太/藤井 杏優/森木 晴彦/森本 凌

はじめに

バスケットボールなどの競技中に起こる前十字 靭帯損傷( 以下,ACL 損傷) は,スポーツ実施率の上昇に伴い増加傾向にある.ACL 損傷の原因 の1つとして,下肢のknee in-toe out 肢位をとりやすいことが挙げられ,関節角度の関係については明らかになっていない.そこで今回,片脚ホップ動作を行い,着地姿勢における下肢の各関節角度を測定し,knee in-toe outとの関係について検討した.

対象および方法

対象

鳥取市医療看護専門学校に所属する学生各男女10名.計20名とした.

方法

片脚ホップ動作は,非支持脚下肢は股関 節屈曲伸展中間位, 膝関節90°屈曲位とし,10秒間 の片脚静止立位後に実施した.立脚側下肢の足尖 部を合わせたスタートラインから、左右の60°斜め前方の延長線上で,50㎝の距離を片脚ジャンプし,同側下肢の着地姿勢で3秒間静止した.上肢 による代償動作を避けるため,上肢は胸の前で組み,1人につき左右交互3回ずつ実施した.片脚着地姿勢の下肢の各関節角度( 股関節屈曲・内転, 膝関節屈曲,足関節背屈) はスマートフォン3台を 指定位置に設置しopen cap を用いて測定し,利き足と非利き足で比較検討した.テスト開始前に 動作課題の説明および方法を提示し,2回の練習を実施した後,本データを収集した.試行中に対側下肢が接地した場合は無効として再 試行を実施した.統計手法はMann-WhitneyのU 検定を用い,有意水準は危険率5%とした.

結果

下肢の各関節角度は,利き足群では股関節内転,非利き足群では股関節屈曲,膝関節屈曲,足関節背屈が増大したが有意差はなかった.また関節 データの分散では,利き足群では股関節屈曲・内転,足関節背屈のばらつきが大きく、非利き足群では膝関節屈曲のばらつきが大きい結果となった が有意差はなかった.

考察

今回,片脚ホップ動作後の下肢の関節角度に着目し,knee in-toe out肢位との関係や利き足・非利き足との関係について検討した。岩田ら1 )は,片脚ジャンプ着地動作では下肢全体に加わる衝撃吸収や,膝関節内靭帯に加わる負荷を減少させるには膝関節屈曲角度の増加が必要と述べている.本研究では,非利き足群の膝関節屈曲角度が増大傾向を示した一方で,角度の大きなばらつきがみ られた.利き足群では,膝関節屈曲角度の減少傾 向に加え,外反モーメント増大の一因となる股関節内転角度の増大傾向がみられた.このことから, 着地においては,利き足・非利きを問わず,下肢への負担軽減には各関節角度を意識させた動作指導が必要ではないかと考える.また岡村ら2)は,動作時に股関節内転,内旋位を呈する動的アライメント(knee in) は,下肢スポーツ外傷の発生要因となるだけでなく,体幹運動様式に影響を及ぼすと述べていることから,今後の課題として,体幹との関係性についても検証する必要がある.

参考文献・引用

  1. 岩田昌ら:非予測条件でのサイドステップカッティング動作が膝関節運動に与える影響.理学療法科学30(3):469-473,2015
  2. 岡村幸枝ら: 股関節肢位の違いによるジャンプ動作への影響について~体幹運動の比較検討~.東海スポーツ傷害研究会会誌; Vol.35(Dec.2017)

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