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2023年度 課題研究発表会
ポスター演題

セルフモニタリング法を用いた運動支援プログラムが若年成人の運動習慣と活動量に与える影響について

キーワード:有酸素運動生活習慣病筋力トレーニング行動変容
理学療法士学科
大城 晃平/寺田 楓/岩本 彪翔/木下 航/谷口 倖盟

はじめに

WHO は日本人の3人に1人が運動不足であると報告している. 長期的な運動不足は生活習慣病の発症を招くといわれているため,生活習慣病の予 防のため運動不足の解消が非常に重要であるとい える.そこで,藤原1 )は生活習慣病を予防するうえで我々の1日の活動の大部分を占める歩数を意 識し管理することが重要であると述べている.そこで本研究は,運動の重要性や運動プログラムを 記載したパンフレットが一日の歩数や運動習慣に対して与える影響を考察する.

対象と方法

1)対象:本研究に同意が得られた鳥取市医療看 護専門学校の在学生のうち運動習慣のない若年成 人20名とし,年齢は20.2±9.2歳であった.

2)方法:①歩数,②アンケート,③運動支援プ ログラム.
①対象者は三週間,歩数計を付けて生活し,一日の歩数をセルフモニタリングシートに記載する.
②アンケート調査にて,プログラム実施前とプロ グラム実施後で運動に対する意識と行動変容を比 較するため,行動変容ステージの準備期,関心期,無関心期の3つのステージを参考にした運動に対 するモチベーションや行動の変化に関するアンケートを実施する.
③プログラム二週目に,運動習慣が低下すること によるリスクや運動習慣が低下した者でも比較的 容易に実施できる有酸素運動と筋力トレーニング を記載したパンフレットを配布する.

3)解析方法:対応のあるt 検定を行い,運動前 後のアンケートをクロス集計で集計しカイの二乗 検定と分散が等しくないと仮定した2標本によるt 検定を実施した.

結果

被験者の一日の歩数は運動前が平均6782.2歩,パンフレットの配布後の歩数が平均6215.9歩となり運動前と比べて歩数の減少がみられた.t 検定を実施した結果,有意差はみられなかっ た.(p=0.208<0.05),運動後の「パンフレットを 見たことによる興味・意識は変わったか」という 質問に対して20代以上では有意差が見られた(p =0.04>0.05)が20代以下での行動変容について のアンケートでは有意差は見られなかった.(p = 0.45<0.05)平均実施回数は1.75回となった.

考察

本研究は運動パンフレットを配布し,運動前後 の歩数と運動意識に関する研究を行った結果,パ ンフレットを用いたことで無関心期から準備期への行動変容ステージの変化が見られた.しかし, 歩数は運動前に比べて減少し,また自主的な運動の回数にバラつきが見られた.この結果から自主 的な運動プログラムは20代以上の成人に対しては 行動変容に影響を与えたが,歩数に関しては年齢に関係なく関連性がないことが分かった.

本研究から考えられることとして,運動に対する意識,行動変容ステージを向上するためには自主的に行うためのアプローチだけでなく,全体に 対するポピュレーションアプローチを行い運動の準備期から実行期への移行がしやすい環境づくり が重要であると考える.

参考文献・引用

  1. 藤原誠助:若年者における歩行速度,歩行率を考慮した歩行時の運動強度推定.健康支援,19(1);19-26,2017.

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