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2023年度 課題研究発表会
ポスター演題

足部アーチとスポーツ障害の関連性について~成長期のサッカー競技に着目して~

キーワード:アーチ高率オーバーユースサッカー外傷性障害成長期
理学療法士学科
馬渕 愛子/入江 七穂/清水 雪妃/長田 杏奈/林 大雅/津村 龍使

はじめに

足部アーチは運動能力に影響を与えており,清水ら1 )は様々な疾患が出現する可能性があると報告している.成長期のサッカー競技では,オーバーユース(以下OUS)や外傷性障害によって選手の身体発育に影響するといわれ,スポーツ障害への 理学療法的な関わりは意義深い.そこで,足部アーチとサッカー競技における障害について調査し, 関連性を検証することを目的とした.

対象および方法

対象

サッカーラブに在籍する小学3~6年生 78人.

方法

アーチ形状を評価する方法は足背高及び 足長からアーチ高率(以下AHR)を算出し指標 とした.AHR の平均と標準偏差をもとに平均値+ 標準偏差以上をHigh 群,平均値±標準偏差内を Standard 群,平均値- 標準偏差以下をLow 群とし, 3群に対してアンケート調査(障害の有無,障害の 種類,部位,発生状況)を行い関係について統計処理を行った.

結果

アンケート回収率100%.身長平均141±8㎝,体 重平均34±6㎏,年齢平均10±1歳.障害36件(46.2%: 内訳OUS 17件21.8%,外傷性障害19件24.4%)で3 群間における各項目での有意差は認めなかった.

考察

今回,AHR と障害の関連性に有意差は認めな かった.先行研究と異なった要因として,身体の発達過程が関係していると考える。福原ら2)は,「中 学生年代は成長期にあり,筋力の増大と骨成長により柔軟性が低下し,スポーツ障害が生じやすい」と述べている.よって,成長期における身体の発 達過程を見据えた構築学的な関連性について多角 的に考える必要がある.小学生の骨格は発達段階 により様々な特性を持つためAHR において離散 し,3群間において障害が一定数に認めたと考える.足部アーチと障害の関係性が認めなかった一方で, 全体の約半数にあたる36件の障害経験について問 題視すべきと考える.この現状に対し障害予防の 観点から発達過程が著しい時期である成長期の障 害予防を追求していくことが急務となる.今後の 課題として,発達過程を基盤とした各段階(成長 初期,成長最盛期,成長終末期)における身体構造(骨格・筋,姿勢制御,柔軟性,練習状況,物 理的要因等)と障害について検証する必要がある.

おわりに

今回,AHR と障害の関係性に着目し調査を行い 関連性は認めなかった.成長期では発達段階により様々な特性が見られるため他の要因が関係していると考える.また,全体の約半数が障害経験を 持つため予防策を考案する必要がある.

参考文献・引用

  1. 清水新悟:正常アーチ足と低アーチ足の足底圧力と足圧中心軌跡の比較アーチ低下による疼痛発生メカニズムの検討.スポーツ産業学研究 ,23(2);177─182,2013.
  2. 福原隆志:成長期サッカー選手に対するストレッチング指導の効果.理学療法科学,25(6); 861─865,2010.

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