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2023年度 課題研究発表会
口述演題

旅行に行く事を目標に息苦しさの進行をいかにくい止めるか~ COPD 症例を通じて~

作業療法士学科理学療法士学科看護学科
杉本 大知(看)/豊田 悠愛(看)/恩重 正美(看)/村上 太一(理)/和多田 真大(理)/平尾 美紀(作)

はじめに

今回,多職種連携授業を通して,COPD 患者の退院支援・調整についてグループワークを行い, 患者さんの希望である旅行に行くことを目標に息 苦しさの進行をいかに食い止めるかに焦点を当てて考えをまとめたので以下に報告する.

症例紹介

症例はCOPD の63歳男性.60歳の時にCOPD の診断を受け,定期的に呼吸器内科に通院する. 今年の7月よりCOPD 憎悪のため入院となった. Fletcher-Hugh-Jones 分類IV.食事は咳き込みや痰がらみが見られながら6〜7割摂取.1度の食事に1時間半程度の時間を要す.もともと入浴好き だが,COPD 発症後から浴槽内で息苦しさを感 じることで自宅でもシャワー浴にて入浴.移動は病棟内の短い距離であれば休憩を挟みながら歩 行可能だが,長い距離移動する時は車椅子を使用.睡眠時に咳嗽・中途覚醒あり,日中傾眠傾向. HOPE は早く良くなって妻と旅行に出かけたい.

在宅退院に向けた課題

食事の際に咳き込み・痰がらみ.1回の食事に1時間半以上かかる現状がある.この状況が続くと口腔内の清潔が保たれず,口腔内に細菌が増え誤嚥性肺炎を引き起こすことが考えられる.また,食事量や食事に対する意欲が低下することなども考えられ,低栄養状態に至ると予測する.
ADL はCOPD による呼吸困難によって長距離 は歩けないなど日常生活に支障が出ている状況であるため,在宅療養を行うために対応・適応して いく支援が必要であると考える.
住環境は,自宅は3階建ての一軒家で,日常生活中の度重なる階段の上り下りが難しいと考え る.これらの問題に合わせ,A 氏自身が抱えている心配事等を含めた不安への対応が必要になる.

総合援助・支援プラン

咳き込み・痰がらみの予防のため起坐呼吸,口すぼめ呼吸,体位ドレナージの実施.呼吸困難による不安を緩和する為,パニックコントロール, 呼吸を整えるための支援,傾聴と対話を心がけた支援が必要.感染症による肺炎等の予防のため, 手洗い・うがいの指導を行い,マスクの着用を促す.低栄養予防のため,分食を勧め1日に必要な 摂取量を確保する.ADLトレーニングを指導し エネルギーの消費を抑え,息切れなどを起こさないようにする.また, 自助具や補助具を導入し環 境整備を実施する.リハビリテーションとして, 呼吸筋トレーニング,胸郭可動域訓練,リラクゼー ション,筋力・持久力トレーニング,歩行訓練等 を実施する.

考察

本症例を通してCOPD で生じる不利益な状態 を改善するため,身体的・精神的・社会的の3側 面から支援していく必要がある.支援の質を高めるためには各職種がそれぞれにアプローチするのではなく,情報を共有し1つの目標に向かって専門性を発揮することが重要と考える

結語

「多職種連携」での学習を通して,どの職種も 一人ではすべての問題を解決することが難しく, いかに他の専門職の力を借りて患者支援を行うことが重要であるかを学んだ.将来,チーム医療に貢献できる医療人としてここで得た学びを糧とし,今後臨床の場に寄与していきたい.

参考文献・引用

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