褥瘡発生,再発予防に対する褥瘡対策委員会の問題~より効果的な褥瘡対策のための第一歩~
はじめに
日々褥瘡ケアを行う中で,褥瘡発生・再発リス クの高い患者についてチーム,多職種の把握が不十分な現状に気付いた.褥瘡委員会の褥瘡対策を知り,効果的な対策に繋げるための問題点を明確化することができたためここに報告する.
目的
褥瘡対策委員会への意識調査により褥瘡予防への取り組みの問題点を明確化し,より効果的な褥瘡対策への示唆を得る.
方法
褥瘡対策委員会の運営要綱に基づき,2022年, 2023年の多職種を含めた褥瘡対策委員へ現状認識 と意識調査を実施(看護部14名、多職種3名)し, 単純集計.看護部への調査内容①褥瘡委員の経験年数,②褥瘡計画,評価の正しい方法を知ってい る,③個人的に対策を行っている,④褥瘡発生リスクが高い患者情報をチームへ共有している,⑤ 褥瘡委員会での情報が活用されている,⑥⑤の回答理由について自由記載。多職種への調査内容: ①看護部委員の活動内容を知っているか,自由記載.②褥瘡委員としての意識の自由記載.自由記 載では記述内容を類似したものにまとめ,ネーミングした.
倫理的配慮
対象者が特定されないよう配慮し所属施設の倫理審査委員会の承認を得た.
結果
看護部アンケート結果(79%回答):②「はい」 5人(60%),③④「はい」11人(100%),⑤「は い」8人(70%),⑥への回答では「褥瘡委員の研 修会は活用できている」「各個人,各チームで共有,検討している」,「褥瘡評価がその後の褥瘡対策に活かせていない」「褥瘡評価の基準がわからない」「褥瘡発生者数の報告のみで具体的な対策会議が できていない」などがあった.多職種アンケート結果3人(100%回答)①「はい」1人(57%)② への回答では「委員会外に向けての情報共有,報告」「褥瘡評価の活用」「褥瘡対策委員会運営要綱 の見直し」「正しい知識の吸収」などがあった.
考察
平成17年度より施行している褥瘡対策委員会運 営要網では,委員会設置基準,基本的な業務,開催頻度,記録保管及び守秘義務の記載のみであった.具体的な委員の活動内容が不明確,多職種間 での活動内容が共有できていない事,個人的な経 験やスキルでの判断により,病院全体で統一した褥瘡対策にあたる事ができていないと考えられる.委員会が褥瘡予防のための学習を促す必要がある.多職種連携し委員会の機能を強化することは,褥瘡対策に繋がる.
結論
褥瘡対策に関して,統一した対応ができていなかった.褥瘡対策に関する知識,意識不足を改善するための問題点が明確化できた.
参考文献・引用
- 永吉恭子ら:リハビリテーション専門職からみた基礎知識とアップデート.WOCNursingl9(10);59-65,2021.
- 生島繁樹:薬剤師からみた基礎知識とアップデート.WOCNursing,l9(10);66-74,2021.
- 真壁昇:栄養の観点における基礎知識とアップデート.WOCNursing,l9(10);75-82,2021.
- 成松史ら:多職種カンファレンスがうまくいくコツ.NURSE,39(3);91-92,2023.