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2023年度 課題研究発表会
口述演題

産後ケア外来チームの活動報告

鳥取県中部医師会立三朝温泉病院 リハビリテーション科
長田 きらり/大丸 利沙/藤岡 佳子/河本 友紀/松本 観妃

はじめに

リハビリテーション科産後ケア外来チームは,平成29年より三朝町からの業務委託として産後リハビリテーションの提供を開始した.また令和元 年からは近隣の産科クリニックからの紹介システ ムができ,三朝町外からの受け入れも可能となっ ている.今回,平成29年から令和3年の5年間の実 績を振り返り,報告する.

産後ケア外来の概要

産後の母親の不調(腰痛,骨盤帯痛,恥骨痛, 肩こり,腱鞘炎など)に対し,整形外科医の診察 ののち,PT が処方に基づき身体機能評価を実施し,個別に体操指導や,動作指導を行う.受診は完全予約制で,病院受付からPT 開始まで10~20 分と短時間で対応できている.体操指導には,そ の場で行った体操をリーフレットにして手渡すことや,動画(病院公式Youtube)で確認できるものを用意している.

実績

平成29年6月から令和3年11月までの延べ受診数 は97名(平均年齢32.0歳),出産から受診までの日数は平均93.4日,主訴は腰痛・肩こりが最も多く, 主診断名は腰椎椎間板症・頚椎症が多かった.痛 みの評価として,VAS を用いており,問診時の 平均値は45.5/100mm であった.指導内容として 体幹機能改善運動を90.7%,肩甲帯体操を56.7%, 骨盤底筋体操を46.4%の対象者に指導していた. 育児動作については,抱っこの姿勢を47.4%,授 乳姿勢を41.2%に指導していた.

アンケート結果

令和元年度より実施しているアンケートの結 果を報告する(n =69).受診後の満足度は98点 /100点と高く,施設の利用のしやすさについても待ち時間がなく子連れで受診できることや,スタッフの対応の良さなども好評であった.実施後のVAS 平均は25.0/100mm で即時的な変化がみられる症例も多かった.

まとめ

現状,さまざまな悩みを抱えている母親は多く存在している.しかし,佐々木ら1)の調査によると,45%の母親が症状はあるが受診・相談していないという報告がある.その理由として「どこへ 行けばいいのか,病院では何科を受診すればいい のかわからない」といった声が挙げられる.その中で,産後ケア外来という機会を設けることは, 母親の体の不調や精神的な不安が解消される一助になっているのではないかと考える.今後の課題として,産後ケア外来で指導した体操について, 実施されているかを調査する目的で産後6か月時 にアンケートを実施した(n =38).結果,6か月時点でのVAS の平均値は35.2/100mm で,指導さ れた体操を継続している人の割合が31.6%であっ た.現在三朝町子育て支援センターにおいて集団体操指導を継続して行っているが,産後ケアの認 知度はまだ低いと言わざるを得ないのが現状であ る.最近では町外からの問い合わせも増加しており,啓発活動も含めて今後もチームでの活動をよ り高めていきたいと考える

参考文献・引用

  1. 佐々木聡子ら:一般市民を対象とした,産前・産後理学療法の認知度調査. 理学療法の臨床と 研究,31;31-36,2022.

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