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2022年度 課題研究発表会
口述演題

日刊工業新聞社賞

誰でもできる身近なユニバーサルスポーツの改良~正式なボッチャと身近な材料で作った簡易ボッチャの使用感と一時的気分の比較調査~

キーワード:ボッチャ改良気分道具使用感
作業療法士学科
大山 駿太/下雅意 朱子/杉谷 美穂/山添 莉奈

はじめに

2020年に東京パラリンピックが開催されユニ バーサルスポーツに注目が集まっている.しかし 依然としてユニバーサルスポーツの認知度の低さ とその要因として場所,情報,道具,理解がない という状況や金銭的余裕がないことが報告されて いる.本研究では使用道具が比較的少なく,専用 施設を要さないボッチャを改良し,安価な材料で 道具を製作し使いやすいニュースポーツを開発す ることでユニバーサルスポーツをより身近にする ことを目的とする.

対象

本学のOTS 男性21名,女性19名(10代後半~40 歳未満),計40名.

方法

ボッチャの道具を身近で安価な材料をもとに 作成し,既存のルールを簡略化したものをペー パーボッチャ(以下ペッチャ)とした. ペッチャ の体験後気分がボッチャ体験後と差がないと仮定 し,気分の変化と道具の使用感について調査し た.ボッチャ体験後とペッチャ体験後に一時的気 分尺度(Temporary Mood Scale: 以下TMS )と, 道具の使用感に関するアンケート調査を行った. TMS には,6項目あり各項目の気分が強くなるに つれ1~5点を与え,合計を尺度得点とした.視覚 障害者役には目隠しを,重症心身障害者役には重 錘を四肢に取り付けて実施.

結果

ボッチャ体験後とペッチャ体験 のTMS の平 均値をt 検定で分析した結果,図1よりボッチャ とペッチャにおいて「②抑うつ:以下②」以外に おいては有意差が認められなかった.

図2,図3よりボールと滑り台の使用感ではボッチャ とペッチャで大きな差は見られなかった.ボッチャ でボールの位置を言語的説明のみで十分と回答した 人は53%であったが,ペッチャでは体性感覚的にボー ルの位置を把握できる道具を使用した結果,位置が わかると回答した人は93%となった.

考察

②以外の項目で有意差が見られなかったことから, ペッチャはボッチャと同等の気分効果が得られると 考える.また,有意差の見られた②に関しては抑う つ気分がペッチャ<ボッチャであるため,ペッチャ には抑うつ気分を緩和させる効果があると考える. 作成した道具の使用感に大きな差はなく,作成した 道具で代用可能と考える.また視覚障害に対しても 言語的情報に加え,体性感覚的情報も有効であると 考えられる.

まとめ

本研究では安価で身近な材料をもとに作成した ペッチャでもボッチャと同等の気分効果が得られる ことが分かった.今後の展望としてボッチャよりも 気分向上が得られるユニバーサルスポーツとなるよ う研究を続けていく必要があると考える.

参考文献・引用

  1. 小黒修 : スポーツ大会の概況とパラ卓球,障害者スポーツの支援活動について. 作業療法ジャーナル, 53(8); 739-744, 2019.

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