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2019年度 課題研究発表会
ポスター演題

内側広筋に着目した効果的なトレーニング方法の検討

キーワード:サルコペニア予防医療内側広筋膝OA
理学療法士学科
中尾 涼香/三田 真由香/濱田 璃奈/前田 夏季/加藤 勇介/伊田雄大

はじめに

サルコペニアは,変形性膝関節症(膝OA)の原疾患であるといわれ,若年者と膝OA患者の筋収縮状態を比較した結果,内側広筋(VM)の衰えが著名であるともいわれている.VMは加齢に伴う萎縮が起こりやすく,その結果,膝蓋骨の外側偏移を招くと考えられている.そのため,VMに対する効果的なトレーニングが膝OAの予防には重要と考える.しかし,膝OAに対するトレーニングは多く存在するが,VMとの関係性を調査したものは少ない.本研究は各種トレーニングとVMの筋活動量を比較・検討する.

対象と方法

対象は健常な専門学校生男女20名(平均年齢19.75)とした.筋電図マイオシステムクリニカルDTSを用いてA)下肢挙上(SLR),B)スクワット,C)大腿四頭筋等尺性収縮(PatellaSetting),D)股関節内転等尺性収縮時の,VM並びに外側広筋(VL)の活動量を測定した.統計解析方法として一元配置分散分析の後,多重比較を用いて比較した.

結果

VMの活動量をTukeyを用いて解析した結果,A-C間,B-C間,C-D間でp値が1%未満となり主効果がみられ,PatellaSettingで他のトレーニングより有意な結果がみられた.主効果に対する効果量はη2=0.24と大きい結果となった.

考察

本研究ではPatellaSettingに有意な結果が得られた.SLRやスクワットでは先行研究で述べられているように肢位によってVMの筋収縮を行うことができる程度であり,主動作筋としてVMが活動しているとは言い難い.そのため,VMが活動する膝関節最終伸展位付近で膝関節伸展に対し抵抗を行うことが可能となるPatellaSettingでVMが有意に働く結果になったと考えられる.このように,膝OAに対し一般的に臨床で用いられるトレーニングでも目的に合わせて効果的な理学療法を選択する必要がある.

本邦では筋力トレーニングが主流であるが欧米ではエアロバイクなどの有酸素運動が有効である報告が多くあり,今後は有酸素運動などのトレーニングとの比較を行い,よりよい訓練方法を検討していく必要があると考える.

まとめ

本研究ではSLR,スクワット,PatellaSetting,股関節内転等尺製収縮時のVMの活動量を調査した.VMの活動量としてPatellaSettingが他のトレーニングに比べ有意となり,膝OAの予防に効果的なトレーニングとして示唆される結果となった.

参考文献・引用

  1. 1)池添冬芽ら:スクワット肢位における側圧中心位置の違いが下肢筋の筋活動に及ぼす影響.理学療法学,30(1);8-13,2003.
  2. 2)市橋則明ら:スクワット動作時の筋電図学的考察.理学療法,19(5);487-4900,1992.

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