作業療法士が解説|コードバンの特徴と“手が疲れにくい扱い方”
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はじめに
革細工の中でも特に人気の高い素材「コードバン」。
その美しさと耐久性から“革のダイヤモンド”とも呼ばれますが、扱う際に 「手が疲れる」「刻印が入りにくい」「硬くて作業が進まない」 と感じる人も多い素材です。
実はこれ、素材の特徴 × 身体の使い方 が深く関係しています。
作業療法士は「手の使い方」「姿勢」「道具操作」を専門的に分析する職種。
この記事では、コードバンの特徴を理解しながら、手を痛めずに作業するための身体の使い方を解説します。
① コードバンとは?素材の特徴を“身体視点”で理解する

① 繊維が極めて緻密で硬い
→ 打刻や縫い穴を開ける際に 強い力が必要 → 手指の負担が増えやすい
② 伸びにくい
→ 力を逃がしにくく、反復動作の負担が蓄積しやすい
③ 刻印が入りにくい
→ 何度も叩く必要があり、手首・肘・肩の疲労が増える
④ 水に弱い
→ 作業中に“慎重さ”が増し、姿勢が固まりやすい → 結果として 首・肩の緊張が高まる
素材の特徴を理解すると、 「なぜコードバンは手が疲れやすいのか」 が自然と見えてきます。
② コードバンで起こりやすい身体のトラブル

親指の付け根(母指球)の痛み
強い押し込み動作が続くと炎症が起こりやすい。
手首の痛み
硬い素材を扱うと、手首を固定したまま力を入れがち。
肘の外側の痛み(テニス肘)
刻印や打刻の反復動作で負担が蓄積。
肩こり・首の緊張
細かい作業で前かがみになり、姿勢が固まる。
③ 作業療法士が教える「疲れにくい身体の使い方」
① 力は“指”ではなく“体重”でかける
硬い素材ほど、 指の力で押す → NG 体重を乗せる → OK
例:
- 菱目打ちは腕を振るのではなく、肩から落とす
- 刻印は“叩く”より“落とす”イメージ
→ 指の負担が激減します。
② 手首を固定しない
手首を固めると、負担が一点に集中します。
ポイント:
- 手首は軽く“ゆらぎ”がある状態
- 肘と肩で動きを吸収する
- 道具は“つまむ”より“包む”持ち方
③ 作業台の高さを調整する
コードバンは硬いので、姿勢が崩れると一気に疲れます。
理想:
- 肘が90度
- 目線が下がりすぎない
- 背中が丸まらない高さ
④ 反復動作の合間に「手の休憩」を入れる
硬い素材ほど、休憩が重要。
- 親指を軽く広げる
- 手首を回す
- 肩をすくめてストンと落とす
1分でOK。 これだけで腱鞘炎リスクが大幅に下がります。
④ 道具・環境の工夫(OTらしさが光る部分)
① グリップを太くする
硬い素材ほど、細いグリップは負担が増える。 ペングリップを装着するだけで疲労が激減。
② すべり止めマットを使う
片手で押さえやすくなり、力のロスが減る。
③ クランプで固定する
両手が自由になり、姿勢が安定する。
④ ライトを追加する
影が減ると、前かがみ姿勢が改善される。
⑤ コードバン初心者がやりがちな“手を痛める動作”
- 親指だけで押す
- 手首を反らせたまま縫う
- 力任せに刻印する
- 机が低くて前かがみになる
- 長時間休憩なしで作業する
→ これらはすべて 身体の使い方で改善可能。
⑥ まとめ:素材を知ることは“身体を守ること”につながる

コードバンは美しく魅力的な素材ですが、 硬さ・伸びにくさ・刻印の入りにくさ といった特徴が、手や身体に負担をかけやすい素材でもあります。
しかし、
- 力の入れ方
- 姿勢
- 道具の工夫
- 休憩の取り方
を理解すれば、長く快適に楽しむことができます。
作業療法士は、 「好きな作業を続けるための身体の専門家」。 素材の特徴を理解しながら、身体に優しい革細工を楽しんでください。





