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2025年度 課題研究発表会
ポスター演題

非利き手で書字動作の向上を目指すにあたって 使用物品の関連性

キーワード:利き手交換書字非利き
作業療法士学科
井上 煌河/小林 万桜/酒井 彗/田中 佐歩/冨田 龍世

はじめに

青柳ら1)は,リハビリテーション医学において 利き手交換のための非利き手書字動作獲得トレー ニングの重要性を指摘している.しかし,書字動 作は一方の手を使うため,経験のない非利き手で は習得が難しく,失敗が多くなりやすい.練習環 境によっては意欲低下にもつながりかねない.そ こで非利き手書字動作獲得における使用物品の種 類と満足度の傾向に着目した.

対象および方法

本校在校生16名(両利きと利き手交換のある者 を除く)を対象に,六角形8mm の鉛筆とプニュ グリップを( クツワ株式会社) 用いて、非利き手 での書字能力を検証した.く,へ,ほ,を,サ,ノ,フ, ホ,老,魚,米,生,!,Σ,%,±の16文字を指定された鉛筆と補助具で、縦向きに転記するま での時間を計測した.ABA デザインで介入研究を行い,1回目は補助具なし,2回目は補助具あり, 3回目は補助具なしで実施した.作業環境は同一規格の机と椅子を使用し、休憩を挟んで疲労の影響を防いだ.COPM を用いて遂行度と満足度を3 回記載してもらった統計解析はノンオーバーラッ プ・データ率(PND)を使用した.

結果

書字時間の平均は1回目( 補助具なし:8分15秒), 2回目( 補助具あり:4分26秒),3回目( 補助具なし: 4分16秒) となった.遂行度の平均は1回目:3.1/ 2回目:5.6/3回目:6.6である.満足度の平均は 1回目:5/2回目5.7/3回目6.7と2回目の補助具ありより3回目の補助具なしのほうが平均的な遂行度と満足度の数値は上回る結果となった.統計解析においても2回目と3回目の満足度を比べると, PND の値は2回目で43%,3回目は60% と3回目の方で数値が高い結果となった.

考察

今回,書字動作の獲得において使用物品の有無により満足度と筆記時間に差異が生じるか検証し た.先行研究2)では鉛筆の形状によって有効性が確認されたため,今回は鉛筆の形状を一定に設定した.大保ら3)は,非利き手訓練は訓練を積 めば運動パターンが利き手と類似すること,また自筆という手本は非利き手の書字の運動パターンを安定させるのに有効であったと述べている.そのため補助具の有無ではなく訓練回数を重ねることにより,動作効率が高まったため満足度と遂行度の平均が高くなったと考える.

今後の課題・展望

本研究では非利き手での書字動作をABA デザ インを用いて検証を行い,結果として補助具の有無ではあまり差は見られず回数を重ねるごとに自 身でテンの使い方を学び作業動作の効率が向上したことが確認された.そのため今後は練習期間の 拡大を2グループに分けたりABAB デザインでの介入で検証することにより,運動効率がどのよう に向上して行くか考える.

参考文献・引用

  1. 青柳ら: 利き手交換訓練における書字対象別の技能向上度の評価 The 26th Annual Conference of the Japanese society for Artificial Intelligence, 2012
  2. 井田華鳳ら:非利き手での書字動作に使用物品が及ぼす影響について
  3. 大保景子ら:非利き手のための書字訓練法の検討FIT2013( 第12回情報科学技術フォーラム) 第3分冊 677.678

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