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2025年度 課題研究発表会
ポスター演題

利き手交換初期に箸操作性を向上させる自助具箸の選定

キーワード:利き手交換自助具食事動作
作業療法士学科
稲毛 修造/倉持 一生/小西 日向/高橋 知己/田中 智也

はじめに

多くの日本人は食事動作で箸を利用しており, 脳血管疾患などにより利き手に重度の運動麻痺を 呈した場合,非利き手での箸操作獲得による食事 動作自立を目標とすることがある.本研究では, 箸での食事動作の中心となる食物をつまみ口へ運搬する動作で,利き手交換初期に非利き手での箸操作性を向上させる自助具箸を調査した.

方法

本校在学生のうち利き手交換経験者を除外した 計30名(男13名・女17名,右利き26名・左利き4名, 平均年齢20.8±3.6歳)にて,前後テスト統制デザ インのランダム化比較試験を行った.被検者は自 助具箸ごとにA 群:箸ぞうくん®,B 群:バネ 付き箸,C 群:エジソンのお箸® の3群各10名に ランダムで振り分けた.被験者は30秒間,机の手 前から20cm 先の皿にある大豆・小豆をつまんで 口元へ運び(下唇下部貼付のテープに接触させ), 口元下部の深皿へ入れる動作を行い,運搬成功/ 失敗数を計測した.測定は利き手や通常の箸(塗 り箸)と比較するため,①利き手・塗り箸(目標・ 基準),②非利き手・塗り箸(1回目),③非利き手・ 自助具箸(介入),④非利き手・塗り箸(2回目) の順で実施した.反復動作に伴う疲労の影響を防 ぐため,測定間には1分間休憩を挟んだ.測定環 境は同一規格の机と椅子を使用し,①~④測定後 に難易度・遂行度・満足度(NRS:1~10)や感 想(自由記述)のアンケート調査を行った.

❶ 自助具箸により非利き手での箸操作の操作性がどの程度変化したか,❷ 自助具箸の介入により非利き手・塗り箸の操作性に学習効果・学習阻 害があるかを分析するため,❶ -1 目標・基準に 対する自助具箸介入による運搬成功数変化率:( ③ 成功数-②成功数) /①成功数,❶ -2 運搬失敗率 の変化:{ ③失敗数/ ( ③成功数+失敗数)} - { ② 失敗数/ ( ②成功数+失敗数)} ,❷ -1 目標・基準 に対する介入前後での運搬成功数変化率:( ④成 功数-②成功数) /①成功数,❷ -2 介入前後での 運搬失敗率の変化:{ ④失敗数/ ( ④成功数+失敗 数)} - { ②失敗数/ ( ②成功数+失敗数)} を算出 した.またアンケート調査で得られた①~④測定 ごとの難易度・遂行度・満足度と併せて,統計解 析ツールEZR Ver.1.68を用いKruskal-Wallis 検定で群間比較を行った.

結果

❶ -1,❶ -2,❷ -1,❷ -2の群間比較について, ❶ -1で有意差が認められた(p <0.05).アンケート調査の難易度・遂行度・満足度の群間比較では, ③の難易度・遂行度,④の遂行度で有意差が認め られた(p <0.05). 有意差を認めたこれら指標の 3群の平均値等は図1~4のとおり.

考察

利き手交換初期にて,3つの自助具箸いずれも,非利き手・塗り箸より自助具箸を使用した方が運搬成功数は上昇した.さらにA. 箸ぞうくんでは,B. バネ付き箸およびC. エジソンのお箸よりも食物をつまみ口へ運搬する動作について運搬成功数変化率を大幅に増加させることが示された.アンケート調査から,A. 箸ぞうくんに対して被験者は主観的に操作しやすいと感じ,上手く操作できると感じることが示された.しかし,A. 箸ぞうくんでの介入直後には非利き手・塗り箸での操作に違和感がある可能性があることが示された.

参考文献・引用

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