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2025年度 課題研究発表会
口述演題

高校生の健康運動実践指導者の認知状況

キーワード:健康運動実践指導者性差資格高校生
医療福祉総合学科
岡山 駿斗/北脇 康成/喜美田 光希

はじめに

 近年,少子高齢化の進行に伴い,国民の健康寿命を延ばすことが日本の重要な政策課題となっている.厚生労働省をはじめとする関係機関は,生活習慣病の予防や介護予防を目的とした運動の推進を図っており,その実践を支える専門人材として「健康運動実践指導者」の役割が注目されている.健康運動実践指導者は,医学的・運動生理学的知見に基づき,安全かつ効果的な運動指導を行う資格であるが,2025 年10 月時点で全国における資格保有者数は17,211 人1)と報告されており,看護師など他の医療職種と比較するとその数は少ない1).このことから,社会における認知度が十分でない可能性がある.本研究では,健康運動実践指導者資格の社会的認知度を明らかにするとともに,健康寿命延伸という国の方針の中で,当該資格が果たすべき役割について考察することを目的とする.

対象および方法

 県内のA 高校1 年生~ 3 年生を対象にアンケートを実施した。返却のあった305 名のうち欠損があった8 名を除いた297 名を対象とした. 内容を説明し,承諾を得て無記名で回答してもらった. 性別, 学年,部活動別の各項目を医療・福祉に興味・関心がありますか(以下:興味・関心度)健康運動実践指導者を聞いたことがありますか(以下:知名度)健康運動実践指導者についてもっと知りたいですか(以下:探求心)についての関連性を調べた. 各項目との関連性について統計解析ソフトのEZR2.9.1 を使用し有意水準を5% とした. 興味・関心度, 知名度, 探求心を目的変数に, 性別, 学年, 部活動別を説明変数にしてロジスティック回帰分析を行った.

結果

 単純集計の結果,資格に「興味・関心がある」と回答した者は130 名,「ない」と回答した者は167 名であり,関心の有無はほぼ半数に分かれた.また,「聞いたことがある」と回答した者は17 名にとどまり,「聞いたことがない」と回答した者は280 名と,知名度の低さが顕著に示された.「もっと知りたい」と回答した者は147 名だった.興味・関心度×性別は,(OR:2.82,cl=1.56-5.10,p=0.008254) 探求心× 性別(OR:2.350,cl=1.330-4.17,p=0.007594) である. ロジスティック回帰分析を行った結果,興味・関心度×性別は, 男性より女性のほうが高く,探求心×性別も,男性より女性のほうが高かった.

考察

 本研究では,健康運動実践指導者資格に対する社会の認知度を明らかにすることを目的として調査を行った.集計より,一定の潜在的ニーズが存在することも示唆された.性別による傾向としては,水村ら2)において,女性の方が健康に対する意識が高いとされており,女性の方が男性よりも関心度が高いことが示された.さらに,鳥取県内における資格保有者数は2025 年10 月時点で58 名 1)であり,看護師の7,625 名3)と比較すると著しく少ない.この人数差の背景には,健康運動実践指導者が国家資格ではないことが影響していると考えられる.国家資格は法律に基づき社会的地位が保証されるため,信頼性が高く,資格取得者数にも影響を与える4).一方,健康運動実践指導者は民間資格であるため,社会的認知や信頼性が十分に確立されていない.しかしながら,国は健康寿命の延伸を重要政策として掲げており,運動を通じた予防的健康支援の担い手として,健康運動実践指導者の役割は今後ますます重要になると考えられる.認知度の低さや資格の位置づけに課題はあるものの,地域住民の健康づくりを支える専門職として,当該資格の社会的意義を再評価し,制度的支援や広報活動を通じてその価値を高めていく必要がある.

参考文献・引用

  1. 公益財団法人健康・体力づくり事業財団2025;健康運動指導士・健康運動実践指導者登録状況 https://www.health-net.or.jp
  2. 水村真由美ら:大学生のボディイメージと健に関連する意識・行動および知識にみられる性差, ジェンダー研究 第5 号2002
  3. 公益社団法人鳥取県看護協会;協会概要https://www.tottori-kangokyoukai.or.jp
  4. 山本準ら:『資格社会』研究の課題と展望- 公的職業資格に関する社会学的- 考察-,鳴門教育大学研究紀要 第36 巻 2021

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