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2025年度 課題研究発表会
ポスター演題

非侵襲的後根神経筋反射が筋力およびF 波に及ぼす影響

キーワード:F 波後根神経筋反射脊髄興奮性非侵襲的電気刺激
理学療法士学科
石淵 奨汰/伊藤 旭/大野木 緋南/加藤 悠/中村 貴之/中本 葉月/松本 彩希

背景と目的

後根神経筋反射(Posterior Root Muscle Reflex:PRMR)は,脊髄運動ニューロンプール の興奮性に影響を及ぼすとされるが,その作用機 序には不明な点が多い.先行研究では,PRMR 実 施後に握力が低下するなど,筋力増強を目的とす る筋電気刺激(MES)とは逆の結果が報告されて おり,末梢刺激が中枢神経系に抑制的に作用する 可能性が示唆されている.本研究では,非侵襲的後根神経筋反射(PRMR 様介入)が筋力および F 波を指標とした脊髄興奮 性脊(post-actibation depression;PAD)に及ぼす影響をあきらかにすることを目的とした.

対象と方法

対象は健常若年者5名(男性3名,女性2名,20 ±1歳)とした. 連日介入群(Ⅰ群)と3~5日間隔 を設けた介入群(Ⅱ群)に分け,各群とも3回の 介入を実施した.誘発筋電図によるF 波および握 力(右・左)を測定し,介入前後で変化を記録した. 経皮的電気刺激は40Hz,パルス幅0.4ms,10分間 で実施し,出力は痛みを感じない強度に調整した. 本研究はパイロットスタディとして実施し,統計 解析は行わず,変化の傾向を評価した.

結果

F 波および握力の変化を表1に示す.Ⅰ群では 握力低下が顕著であり,F 波も減少傾向を示した. 一方Ⅱ群では一部に握力増加やF 波上昇を認め た.特にCase4では右握力の増加を示した.

考察

本研究は,PRMR 様介入が筋力およびF 波に 与える影響を検討した.その結果,Ⅰ群でF 波・ 握力の低下,Ⅱ群で回復傾向を認めた.これは, 刺激間隔により脊髄運動ニューロンプールの興奮 性が変化することを示唆する.

Hultborn ら(1996)はH 反射のPAD がⅠ a 求 心性終末でのシナプス前抑制による短期可塑性現 象であると報告し,Andrews ら(2015)は経頭 蓋磁気刺激によりPAD が一過的に減弱すること を示した.本研究の結果は,これらの報告を支持 しつつ,末梢後根入力によってもPAD 様変化を 誘発し得る可能性を示したものである. 従来のFES やMES は筋線維を直接興奮させるこ とを目的とするが,中枢神経回路への影響は限定 的である.PRMR 様介入は,Ⅰ a 求心性線維を介 して脊髄反射経路に作用し,中枢神経可塑性を調 整できる可能性があることから,筋力増強や痙縮 抑制に対する新たな神経調節型刺激方としての有 用性が示唆された.

本研究は被験者数が少なく,F 波のみを指標と したパイロットスタディであり,今後はH 反射・ V 波・CMEP などの併用による多面的評価および 刺激条件の最適化が必要である.

表1 .

握力(右/左)
kg
F波(前/後)
kg
Ⅰ群 BS 1回目 2回目 3回目 BS 1回目 2回目 3回目
Case1 25.70/25.70 24.55/26.40 24.15/26.25 23.30/26.50 0 - - -
Case2 39.75/44.80 37.05/38.85 34.80/36.85 32.65/34.80 0.5 -/0 0.3/0 0.1/0
Ⅱ群
Case3 27.30/32.50 25.10/29.50 24.65/30.85 23.95/29.35 0.1 -/0.07 0.25/0.1 0.1/0
Case4 15.85/18.25 21.60/16.85 19.25/14.75 19.75/15.40 0.6 -/0 0/0 0.1/0.1
Case5 40.20/34.80 32.65/29.65 25.95/27.90 36.35/25.30 0.1 -/0.05 0.25/0.15 0.15/0.1

参考文献・引用

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