menu

2025年度 課題研究発表会
ポスター演題

若年成人における姿勢と生活習慣との関連性

キーワード:OWD姿勢生活習慣若年成人
理学療法士学科
北村 尚成/鶴田 晶大/森永 愛斗/宮本寛大/友田 耕太朗/米花 功騎

はじめに

 近年,スマートフォンの普及に伴い,若年層の生活様式は大きく変化し,それが不良姿勢を助長する要因となっていると指摘されている.小山らは大学生を対象にスパイナルマウスを用いて脊柱アライメントを測定し,40°以上の胸椎過度後弯を呈する割合が45%であったと報告している1).子どもを含む若年者の不良姿勢の要因について,林はスマホ・ゲーム遊びの低年齢化や生活習慣の劣化が姿勢の崩れをきたすと指摘しており2),生活習慣や運動習慣が不良姿勢の要因になると推察される. しかし,不良姿勢と生活習慣・運動習慣の関連性について,先行研究では子どもを対象とした文献は散見されるが,高校生以降の若年成人を対象とした報告は少ない.

 そこで,本研究では,高校生以降の若年成人を対象として,姿勢と生活習慣との関連性を明らかにすることを目的とする.

方法

<対象>本校理学療法士学科に在籍する健常な男女学生35名(男性25名,女性10名)とした.
<方法>姿勢評価には,壁と後頭部との距離を測ることにより胸椎後弯(円背)の簡易的評価が可能である,Occiput to Wall Distance(以下,OWD)を用いた.生活習慣及び運動習慣の評価は,スポーツ庁の実施する「体力・運動能力調査」の調査票より,朝食の有無,睡眠時間,メディア利用時間,運動頻度について回答を得た.統計解析は,改変R コマンダー4.4.3を使用し,OWD を従属変数,調査票の各項目を独立変数とした重回帰分析を行った.

結果

 モデル全体の決定係数はR² = 0.2166,調整済み R² = 0.1122であり,統計的には有意ではなかった(F(4, 30) = 2.074, p = 0.1091).個別の変数ではメディア利用時間(β = 0.4432, p = 0.0325)および運動実施状況(β = 0.4093, p = 0.0361)がOWD に対して有意な正の影響を示した.一方,睡眠時間および朝食の有無は有意な影響を示さなかった.なお,全ての変数においてVIF は2.78未満であり,多重共線性の懸念は認められなかった.

考察

 本研究の結果,メディア利用時間が長く,かつ運動実施頻度が高いほど,OWD の値が高くなり,猫背傾向を示す可能性が示唆された.

 メディア利用時間が長いほどOWD の値が高くなる傾向を示したことについて,先行研究において,若年層におけるデジタルデバイス使用の増加が姿勢不良と関連するとの報告が多くみられており,本研究結果もそれを支持する内容であった.

 一方で,運動実施頻度が高いほどOWD の値が高くなる傾向を示したことについては,先行研究とは異なる結果であった.この理由として,運動内容の違い(筋力トレーニングや競技スポーツなど)や,アンケート調査における自己申告バイアスなどが影響した可能性も考えられる.

 睡眠時間および朝食の有無については有意な関連が得られなかった. これは,対象者の生活リズムが比較的一定していたことが要因と考えられる.

 今後は,メディアの使用状況や運動の実施内容など,より詳細な検討が必要であると考える.

参考文献・引用

  1. 小山浩司ら: 男子大学生の直立位における脊柱アライメントの特徴,理学療法科学,38(4);273-278,2023.
  2. 林承弘: 姿勢と子どもロコモ-子どもの体に異変あり,日本子どもを守る会編: 子供白書 2015,本の泉社,東京,61-65,2015

ページトップへ戻る

close