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2025年度 課題研究発表会
ポスター演題

臨地実習中のやりがい感とモチベーションとの関連性

キーワード:モチベーションやりがい感看護学生自己効力感
看護学科
松井 優奈/谷口 百葉

はじめに

 看護学教育では,知識の習得だけでなく,臨地実習を通して看護実践を体験的に学ぶことが重視されている.臨地実習は,患者の問題解決に知識や技術を活用できる重要な学習機会であるが,学生は新しい環境や人間関係への適応に伴うストレスを抱えながら取り組むことになる.このような状況下で学生が積極的に臨地実習に取り組むためには,教育者の支援に加え,学生自身のモチベーションが重要である1).本研究は,看護学生へ,質問紙を通じて臨地実習に対するやりがい感とモチベーションとの関連性を明らかにすることを目的とした.

対象および方法

 本研究の趣旨に同意したA 看護専門学校に在籍する2年生と3年生に,匿名にて質問紙調査を実施.やりがい感の有無とモチベーションとの関連性について相関分析を用いて分析を行った.

結果

 実習中にやりがいを感じた学生が全体の約9割を占めており,モチベーション指標(「前向きに取り組めた」64.3%,「自信を持って課題に取り組める」42.9%)との整合性が見られた.特に「やりがいを感じた」群では,自信や達成感が高かった.やりがいを感じた場面の上位3項目(感謝・成長・承認)はいずれも内発的動機づけ(自己効力感・貢献感)に関わる要素であり,これらの経験をした学生ほど「困難を乗り越える」「課題に自信を持つ」などのスコアが高い傾向が見られた.一方,チーム連携など外的要素に基づくやりがい感は少数であった.やりがい感とモチベーションとの関連では,やりがいを感じた学生ほど,内発的動機(成長・貢献・認知)に基づくモチベーションが高く,「成績・就職目的」など外発的要因は,やりがい感との関係が薄い傾向が見られた.やりがい・モチベーションの上昇要因は人との関係・達成感・セルフケアに関連し,下降要因は制度的・環境的ストレス(睡眠不足・課題量)が中心であった.

考察

 本調査から,実習中にやりがいを感じた経験はモチベーションの高さと強く関連していることが明らかになった.特に,患者からの感謝や自己の成長の実感,指導者からの承認といった体験がモチベーション向上につながっていたと考えられる.一方で,睡眠不足や課題量など,学習環境に起因するストレスはモチベーションを低下させる要因として顕著であった.稲山らは,「看護学生の臨地実習において自己効力感が高いほど実習への積極性が増す」2)と報告しているように,やりがいを感じる経験は「自分はできる」という感覚を強め,学習意欲の向上に直結する可能性が高いと考える.さらに,看護師を目指した理由や将来像を思い出すといった内的動機づけが,一部の学生にとってモチベーションを高める重要な要因となっていたことから,外的要因(休養や気分転換)と内的要因(目標意識)の双方が,看護学生のモチベーション維持に寄与していることが示唆された.また,教育的支援 においては,学生が休養やリフレッシュできるよう配慮すると同時に,目標の再確認や達成感を得られるような振り返りの場を設けることが求められる.

結論

 やりがい感は実習モチベーションを高める主要因である.特に感謝・成長・承認の経験が内発的動機づけを強化する.モチベーション維持には自己効力感の支援が不可欠である.また,学生が自分の成長や成果を実感できるよう,フィードバックやリフレクションの機会を設けることが重要である.さらに,過重な課題・睡眠不足はモチベーション低下を引き起こすため,教育環境の改善や休息時間の確保が,学生の学習意欲を持続させる鍵となる.

参考文献・引用

  1. 石川恵子ら:看護学生における臨地実習へのモチベーション.京都大学大学院医学研究科人間健康科学系専攻紀要,健康科学第11巻;2015.
  2. 稲山明美ら:看護学生の効果的な臨地実習へ向けた自己効力感に関する検討.川崎医療福祉学会 誌 Vol.28 No,1;37~46, 2018.
  3. 毛利貴子ら:臨地実習を経験している看護学生のストレスコーピングの実態.日本看護研究学会雑誌,Vol.30 No.3;2007.

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